小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2020年のテーマはWith With Withで動物の一つの疾患に関して様々な側面から分かりやすく見ることにしています。今回は取り上げるのはウサギの子宮疾患です。コロナ禍のためwithを使って良いものか悩みましたが、今年のテーマに沿って今月も進めようと思いますのでよろしくお願いします。

ウサギの子宮疾患について
ウサギは基本的に安産で、繁殖力も強い上に周年繁殖動物です。その素晴らしい能力の裏返しでしょうか、動物病院ではウサギさんの子宮疾患はよく遭遇する病気の一つです。代表的な病名をご紹介すると、非腫瘍性病変では子宮内膜過形成、子宮内膜炎、子宮水腫、子宮血腫などがあり、腫瘍性病変では子宮腺腫~腺癌、平滑筋腫~肉腫などが代表的で、これらの病気が混在することも比較的多いです。飼い主様が気づく症状としては出血性の分泌物で、よく‘血尿’を主訴に来院されます。診断はレントゲンや超音波検査などの画像診断が重要で、異常な子宮を確認します。最近ではCT検査も使用されることもあります。治療法は外科手術ですので、それを踏まえ血液検査なども同時に行われます。確定診断は術後の病理組織検査です。

PCAP的ウサギの子宮疾患
以上のようにウサギの子宮疾患の基本をご紹介しました。ウサギさんの飼い主さんは何代にも渡って飼われる方が多いので、ウサギの子宮疾患に関しては、私以上に詳しい飼い主様もいらっしゃいますし、苦い経験をお持ちの飼い主様もたくさんいらっしゃいます。そのような背景から、当院ではウサギの不妊・去勢手術を積極的に推奨させて頂いておりますのとうさぎドック(https://animal-wellness.co.jp/wellness/health/#rabbitdoc)を検診でご案内させて頂いております。ウサギの子宮疾患については早期発見・早期治療が重要であるのと、気づいた時には進行していることが本当に多いので、うさぎドックや不妊手術は重要です。当院のウサギの診療は主に太田獣医師と小嶋恭子獣医師の女性獣医師2名が担当しておりますので、私は後方支援となることが多いですが、予後を決定づける病理診断の担当者として正確な診断を行うこと、ピンチヒッター獣医師となる時は確実にヒットを打ちに行くこと、飼い主様が当院のウサギさん診療を利用しやすいように充実した検診と安全な手術を継続できるように体制を整えておきたいと思います。当院では一般的な子宮内膜過形成、子宮腺癌、平滑筋腫などの手術実績に加え、様々な事情で手術を受けることが難しい場合には腹水を有効活用し、腹水軽減によるQOLの改善と可能な限りのセルパック法による診断を行っております。また稀な症例としてウサギのミューラー管腫瘍の報告を行いました。

獣医師募集のお知らせ
全国に3人くらいいるかもしれないPCAPファンの皆さん。こんにちは。
小島動物病院アニマルウェルネスセンターは獣医師を募集することに致しました。当院の希望する獣医師像を以下にお示ししますので、ご興味のある方やお知り合いにそのような方がいらっしゃればご連絡頂ければ幸いです。
獣医師としてはPCAPを理解し、実践していただける方を希望いたします。すなわち診療分野や動物種に関わらず病気の成り立ち、病理発生を理解することを念頭に、確定診断を目指します。治療方針は確定診断に基づいて各ご家庭のご事情やお考えを理解しながら進めることが重要であると考えています。またPCAPで得られた知見は学術研究や発表を通じて、考え方の違う先生方やその道の専門家・専門医に厳しく指導や意見を受けながら、素直な心で自己反省と高い吸収力を通じ成長していくことを重視しています。変更・修正はありますが、今後、10年程度をかけてPCAPに基づいた整形/神経外科、眼科領域を強化していくことを検討しております。また学術発表は年5件程度、学術論文は年1~2件程度を実施していきたいです。
いっぽう、私たち動物病院で働く獣医師が日頃接するのは飼い主様や病院のスタッフです。その動物病院の先生としては、病気の予防や早期発見に努め、動物とそのご家族が末永く幸せになることを第一に考えて行動します(Animal Wellness)。そして動物看護師やグルーマーなどの他職種を大事に想い、一緒に切磋琢磨し、人間的な成長を求めていくことを重視しています。これは勤務して頂くうえで最も重要なことですし、当院の創業の理念であります。
最後に社会人としてBond based managementを掲げています。ご来院頂くご家族や一緒に働くスタッフ、病院を支えてくれる業者様も大事にし、私たちを取り巻く全ての人が幸せになり、それがここ秋葉や新潟の地域社会に広がり、更に日本や世界中の人達が幸せになることを信じて努力することを大事にしています。以上、当院の理念や使命をお示ししましたので、どうぞご賛同いただければお声がけください。
なお労働条件などについて当院はJAHA認定病院ですので社会保険などを完備しておりますのでご安心ください。また昨今問題となります過剰な長時間労働やパワーハラスメントのようなこともございません。診療機器などについてはHPでご案内しておりませんが、診療科目やPCAPの紹介を見て頂ければご想像頂けるものと思います。最近は内視鏡検査を汗びっしょりでやっております。一緒に働くスタッフはこちらもHPを見て頂ければと思いますが、当院のスタッフは皆、個性豊かですので、どうぞ現場でお楽しみください。キャリアプランにつきましては、幼少時から努力し、動物を愛し、多くの人達からの支援を受け、大学に6年も通ってなった獣医師としての職業人生をどのように生き、自分なりの華を咲かせるかについては雇用条件等の範疇を超える問題と思いますので時折、お考えをお聞きしながら、お話を進めます。どうぞよろしくお願いします。

第8回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会の応援

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https://researchmap.jp/read0004131/research_blogs

大会HP  https://jsvp.jp/jcvp/8th/index.html

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