小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2020年のテーマはWith With Withで動物の一つの疾患に関して様々な側面から分かりやすく見ることにしています。今回は取り上げるのは猫の腎臓病です。Withも一気に雑になってきました。性格が表れます。また一つの疾患について記載すると言っているのに気づくと前回から変更されているような感じになってきました。重ねてお詫び申し上げます。

猫には腎臓病が多い。ピノコ(16歳、♀、青森県十和田市出身)も腎臓が萎縮してきた。
猫ちゃんが腎臓病と診断される飼い主様は世の中にごまんといらっしゃると思います。たくさんのお薬と点滴に通っていらしたりしていることと思います。フードの好みも難しくて、悪戦苦闘されている方も多いと思います。実は我が家のピノコもエコー検査上で少し腎臓が小さくなってきてお薬を飲ませようということになりました。我が家で妻が内服投与をしようとしているのをお手伝いしようと思ったのですが、正直、私、何も出来ませんでした(戦力外通告です)。動物って家と病院で全然態度違いますね。すごい反抗的で、すぐ気持ちが萎えてしまいました。頑張りましょうと飼い主様に言っておいて自分がダメでした。飼い主の皆さま、思ったままに薬を出してすいません。いつもありがとうございます。最近の我が家は私以外のメンバーで投薬が行われているようで、将来の家庭内ガバナンスが大変に厳しい見通しとなっております。
ピノコのように加齢とともに腎臓病を発症する猫ちゃんは多いのですが、その場合の組織診断は慢性間質性腎炎となります。間質性腎炎とは尿細管上皮細胞間にリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤を認め、間質の線維化や糸球体の硬化が続発し、腎機能の低下をもたらします。症状は多尿、体重減少、嘔吐などがゆっくり進行するため飼い主様は気付きづらいです。症状が出る頃には進行していることが多く、いきなりたっぷりのお薬、点滴、食餌の変更などとなり、私のようにお薬上げられない問題や腎臓用フード食べられない問題などが発生します。当院では年2回の検診を行っていますが、是非、猫ちゃんのためはもちろんのこと、世界のお父さんのためにも早期発見早期治療にご協力頂ければ幸いです。

PCAP的猫の腎臓病
猫で一般的に見られる慢性間質性腎炎をご紹介しましたが、この病名は腎臓病の終末像を反映している病名であり、実際の初期には様々な病態が存在することも多いです。なかなか検討に至ることは多くはありませんが、PCAPではその他にも腎臓病の原因となる種々の疾患を特定し、可能な限りで原因に即した治療を行っております。最終的には慢性間質性腎炎の治療方針と同じような治療になることも多いですが、長期化する治療について飼い主様や猫ちゃん達の事情を考慮した診療を行っております。以下に少し、猫の腎臓病のレパートリーをご紹介します。

獣医師募集のお知らせ
全国に3人以上いることが明らかになりましたPCAPファンの皆さん。こんにちは。
小島動物病院アニマルウェルネスセンターは獣医師を募集することに致しました。当院の希望する獣医師像を以下にお示ししますので、ご興味のある方やお知り合いにそのような方がいらっしゃればご連絡頂ければ幸いです。
獣医師としてはPCAPを理解し、実践していただける方を希望いたします。すなわち診療分野や動物種に関わらず病気の成り立ち、病理発生を理解することを念頭に、確定診断を目指します。治療方針は確定診断に基づいて各ご家庭のご事情やお考えを理解しながら進めることが重要であると考えています。またPCAPで得られた知見は学術研究や発表を通じて、考え方の違う先生方やその道の専門家・専門医に厳しく指導や意見を受けながら、素直な心で自己反省と高い吸収力を通じ成長していくことを重視しています。変更・修正はありますが、今後、10年程度をかけてPCAPに基づいた整形/神経外科、眼科領域を強化していくことを検討しております。また学術発表は年5件程度、学術論文は年1~2件程度を実施していきたいです。
いっぽう、私たち動物病院で働く獣医師が日頃接するのは飼い主様や病院のスタッフです。その動物病院の先生としては、病気の予防や早期発見に努め、動物とそのご家族が末永く幸せになることを第一に考えて行動します(Animal Wellness)。そして動物看護師やグルーマーなどの他職種を大事に想い、一緒に切磋琢磨し、人間的な成長を求めていくことを重視しています。これは勤務して頂くうえで最も重要なことですし、当院の創業の理念であります。
最後に社会人としてBond based managementを掲げています。ご来院頂くご家族や一緒に働くスタッフ、病院を支えてくれる業者様も大事にし、私たちを取り巻く全ての人が幸せになり、それがここ秋葉や新潟の地域社会に広がり、更に日本や世界中の人達が幸せになることを信じて努力することを大事にしています。以上、当院の理念や使命をお示ししましたので、どうぞご賛同いただければお声がけください。
なお労働条件などについて当院はJAHA認定病院ですので社会保険などを完備しておりますのでご安心ください。また昨今問題となります過剰な長時間労働やパワーハラスメントのようなこともございません。診療機器などについてはHPでご案内しておりませんが、診療科目やPCAPの紹介を見て頂ければご想像頂けるものと思います。最近は内視鏡検査を汗びっしょりでやっております。一緒に働くスタッフはこちらもHPを見て頂ければと思いますが、当院のスタッフは皆、個性豊かですので、どうぞ現場でお楽しみください。キャリアプランにつきましては、幼少時から努力し、動物を愛し、多くの人達からの支援を受け、大学に6年も通ってなった獣医師としての職業人生をどのように生き、自分なりの華を咲かせるかについては雇用条件等の範疇を超える問題と思いますので時折、お考えをお聞きしながら、お話を進めます。どうぞよろしくお願いします。

第8回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会の応援

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https://researchmap.jp/read0004131/research_blogs

大会HP  https://jsvp.jp/jcvp/8th/index.html

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