小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2020年のテーマはWith With Withで動物の一つの疾患に関して様々な側面から分かりやすく見ることにしています。今回は取り上げるのは肥満細胞腫です。

肥満細胞腫と戦う動物、飼い主様、臨床獣医師、遺伝子検査ご担当者、獣医病理医の皆さんetc。ご苦労様です。
肥満細胞腫は犬猫では代表的な腫瘍の一つで、研究報告もたくさんあり、様々な治療法、診断法、検査法がよく検討されていると思います。インターネットを見てみると山ほど動物の肥満細胞腫についての説明が出てきますので、一般的な内容は割   愛しますが、それだけ良く知られているものですと、その背景にはたくさんの方のご苦労があると思います。私達も同様に肥満細胞腫の診療を行っていますが、どこまでで診断をOKとするか、治療法をどのように組み立てていくかは動物の状態や飼い主様のお考えをよく検討し、実施しています。よく飼い主様に肥満細胞腫は太っているからですか?と質問を受けますが、関係ないと思います。最近太って困っているのは私です。

PCAP的肥満細胞腫
犬の肥満細胞腫にはグレード分類があり、治療方針の決定や予後予測に極めて重要です。いっぽうでご家族様にとっては、そもそも肥満細胞腫なのかということが最初に重要であり、トルイジンブルー染色やc-kit抗体を用いた免疫染色で肥満細胞腫の確定を行っています。また次に重要なポイントとしては‘取り切れているのか’というのが大切で、病理標本からマージンを確認して癌細胞が全て取り切れているのかを確認します。猫にも肥満細胞腫がありますが、私見も含まれますが、猫の肥満細胞腫の細胞は比較的バラエティーに富んでいるように感じ、組織診断や追加染色でよく確認しないといけないことがあります。また猫の場合、皮膚にできた肥満細胞腫は比較的予後が良い傾向がありますが、内臓の肥満細胞腫は極めて予後が悪く、診療に難渋します。
なかなか予防したりすることは難しいと思いますが、これだけ多くの発生と知見がありますので、ワクチンが開発されたりしたらとてもいいなと思います。

獣医師募集のお知らせ
小島動物病院アニマルウェルネスセンターは獣医師を募集することに致しました。当院の希望する獣医師像を以下にお示ししますので、ご興味のある方やお知り合いにそのような方がいらっしゃればご連絡頂ければ幸いです。
獣医師としてはPCAPを理解し、実践していただける方を希望いたします。すなわち診療分野や動物種に関わらず病気の成り立ち、病理発生を理解することを念頭に、確定診断を目指します。治療方針は確定診断に基づいて各ご家庭のご事情やお考えを理解しながら進めることが重要であると考えています。またPCAPで得られた知見は学術研究や発表を通じて、考え方の違う先生方やその道の専門家・専門医に厳しく指導や意見を受けながら、素直な心で自己反省と高い吸収力を通じ成長していくことを重視しています。変更・修正はありますが、今後、10年程度をかけてPCAPに基づいた整形/神経外科、眼科領域を強化していくことを検討しております。また学術発表は年5件程度、学術論文は年1~2件程度を実施していきたいです。
いっぽう、私たち動物病院で働く獣医師が日頃接するのは飼い主様や病院のスタッフです。その動物病院の先生としては、病気の予防や早期発見に努め、動物とそのご家族が末永く幸せになることを第一に考えて行動します(Animal Wellness)。そして動物看護師やグルーマーなどの他職種を大事に想い、一緒に切磋琢磨し、人間的な成長を求めていくことを重視しています。これは勤務して頂くうえで最も重要なことですし、当院の創業の理念であります。
最後に社会人としてBond based managementを掲げています。ご来院頂くご家族や一緒に働くスタッフ、病院を支えてくれる業者様も大事にし、私たちを取り巻く全ての人が幸せになり、それがここ秋葉や新潟の地域社会に広がり、更に日本や世界中の人達が幸せになることを信じて努力することを大事にしています。以上、当院の理念や使命をお示ししましたので、どうぞご賛同いただければお声がけください。
なお労働条件などについて当院はJAHA認定病院ですので社会保険などを完備しておりますのでご安心ください。また昨今問題となります過剰な長時間労働やパワーハラスメントのようなこともございません。診療機器などについてはHPでご案内しておりませんが、診療科目やPCAPの紹介を見て頂ければご想像頂けるものと思います。最近は内視鏡検査を汗びっしょりでやっております。一緒に働くスタッフはこちらもHPを見て頂ければと思いますが、当院のスタッフは皆、個性豊かですので、どうぞ現場でお楽しみください。キャリアプランにつきましては、幼少時から努力し、動物を愛し、多くの人達からの支援を受け、大学に6年も通ってなった獣医師としての職業人生をどのように生き、自分なりの華を咲かせるかについては雇用条件等の範疇を超える問題と思いますので時折、お考えをお聞きしながら、お話を進めます。どうぞよろしくお願いします。

第8回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会の応援
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https://researchmap.jp/read0004131/research_blogs
大会HP  https://jsvp.jp/jcvp/8th/index.html
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