小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。
今回のテーマは内視鏡検査についてお話をしたいと思います。

内視鏡とは?

内視鏡を想像する時に最初に思い浮かぶのは胃カメラではないでしょうか?その通りだと思います。
内視鏡は先端にカメラの付いた細い管を口から入れて胃の中を除いたりすることで、診断に必要な情報が得られるのが特徴です。お腹を開けなくては分からなかったことが分かるので、負担が小さく、とても有用な検査です。

【 炎症性腸炎 】

【 腸炎の組織像 】

【 胃のポリープ 】

胃を覗くだけなのか?

内視鏡は細い管を通して、その先にあるものを見るということになりますので、穴があるところには、その細い管が入り、その管が届けばどこまでも見ることができます。よって、口から入って食道が見れて、次に胃が見れて、届く限りで腸が観察することができます。
その他にも耳の奥、鼻の中、お尻の奥(食事中の方、失礼します)、生殖器の奥(いろいろ失礼しております)、気管から肺の中まで観察することができます。お腹の中に限らず、胸の中や鼻の中など、なかなか観察するために開けるには大きな負担のかかる臓器ばかりです。

 

どういう場合に検査を行うのか?

内視鏡検査を行うということは治りづらい上記の臓器に起きた異変を探るため行います。

〇消化管内視鏡でしたら、嘔吐が続く、下痢が続くなどが主訴です。
〇耳鏡でしたら耳を振る、耳を痒がる、聞こえづらいということが主訴です。
〇生殖器や泌尿器の場合は膀胱内結石、膿が出る、おしっこをしづらいということが理由になります。
〇呼吸器の場合は咳や鼻水が止まらない、あるいは鼻から変な音が出るということになります。

以上のような症状を持つ動物が対象になります。

 

検査をすると何が分かるのか、何が出来るのか?

消化管内視鏡を代表選手とした場合に動物の診療現場でよく使われるのに異物の摘出があります。急な誤飲が起こった時にお腹を開けなくても摘出できる場合があります。
またポリープのような病変があった場合にそれを発見することがあります。内視鏡検査は体への負担を低くして観察したところにある‘異常物体’を検出することが出来るのです。
ただその得体の知れない‘異常物体’が何なのかを確定することはできません。

異常物体が何なのかを調べる方法は何なのか?というと病理検査になります。(私にお任せあれ!です。)
内視鏡検査では異常所見を確認し、それを細胞ないし組織で採取し、病理検査で原因あるいは理由を特定することができます。
その結果を踏まえて適切な治療を行っていくことになります。

 

PCAP的内視鏡科とは

以上の内視鏡のご説明でしたが、当院の掲げるPCAPとは病気の何故、すなわち病理学を中心においた診療を行っております。
より安全に、より負担を軽く、より正確に診療を行うため、まずはご家族とその動物を取り巻く状況をより良くするためのAnimal wellnessの概念を前提として、病気理解の土台である病理学的思考をベースに低侵襲な内視鏡器具を使って多様な診療領域(呼吸器科、腎泌尿器科、消化器科、耳鼻科、生殖器科)を行っております。