小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2020年のテーマはWith With Withで動物の一つの疾患に関して様々な側面から分かりやすく見ることにしています。今回は感染症のことを書こうと思います。

気が早いですが、今年も師走が近づいてきました。2020年はコロナの年でした。
2020年も11月までやってきました。今年は本来であればオリンピックで盛り上がった一年になるはずでしたが、コロナ禍で世の中が沈んでしまった一年になりそうです。今年のPCAPブログのテーマはwithでしたが、コロナ禍で、とんだwithの年になってしまいました。そのような一年でしたが、最後の12月くらい、いい話をしてまとめたいので、11月のうちに感染症をテーマにしようと思います。

PCAP的病理診断と感染症
今年は感染症にスポットの当たった一年でしたが、コロナはご存知の通りウイルスという分類に括られます。感染症にはその他にも細菌感染、寄生虫感染、真菌感染などが代表的な分類になり、その中に更に種類によって細かく分かれています。私は分類などについては詳しくはありませんが、当院でも様々な感染症に遭遇し、診療を行っています。最近は特に感染症について飼い主様の関心も高いことから、当院では院内衛生環境の改善をすすめています。もうそろそろ話題にしても良いかと思いますが、猫にもコロナウイルス感染症があり、毎年数例ですが、重篤な猫伝染性腹膜炎ウイルス感染症に遭遇し、診療を行っております。動物病院で確定診断まで持っていくウイルス感染症の代表例であると思います。報道でも盛んに出る抗体検査やPCR検査を行っており、当院では免疫組織化学で確定診断を行っています。

私は張り切って次亜塩素酸空間除菌脱臭機にコロナウイルス陽性像の写真を貼って啓発を行っていますが、誰にもコメントを頂けません。細菌感染では性ホルモンとの関与がある前立腺膿瘍や子宮蓄膿症、歯の問題との関連も疑われる心臓の膿瘍、外に出かけてケガをした猫の細菌性脳炎などを経験しています。真菌感染はホルモンの病気を持つ犬の皮膚病として2次的に発生することや猫エイズによる日和見感染として認めることがあります。寄生虫ではこれも遊び好きのネコさんが回虫を連れてくることがあります。

このように改めてまとめて見ると、ご紹介する感染症を発生させている原因には予防的な対応(ワクチン、デンタルケア、不妊去勢手術、寄生虫予防など)を実施することで避けることも可能な病気が多く、Animal Wellnessの考え方が重要であることを感じます。来年は、新しい生活様式に慣れつつ、大きな声で笑えるような一年になって欲しいなと思います。    

告知3件(採用、学会、研修)になります。どうぞよろしくお願いします。

その① 獣医師募集のお知らせ

② 第8回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会の応援
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https://researchmap.jp/read0004131/research_blogs
大会HP  https://jsvp.jp/jcvp/8th/index.html
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③ 麻布大学附属動物病院神経科専科研修獣医師の募集お知らせ

現在、私も所属しております麻布大学附属動物病院の神経科では来年度の専科研修獣医師を募集しております(一応12月11まで)。神経科を担当しておりますのは、小動物外科学研究室の齋藤弥代子准教授です。齋藤先生はアジア獣医内科学会、獣医神経病学会 神経科専門医を取得され、国際獣医てんかん特別委員会委員をお務めです。私は神経学的検査が病理診断に通じるものを感じ、勉強をしておりました。一緒に働く大学院生もナイスガイです。ご興味をお持ちの方は、齋藤先生におつなぎいたしますので、是非、ご連絡ください。