小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。

今回のPCAPは2019年最後で、動物の血液・免疫のことについて記載いたします。

 

やっぱり予防が大事

血液や免疫の病気の範囲は果てしなく、どこの臓器にも関与するので、ここで全てをご紹介するのは不可能です。

最近は猫ブームということもあり、病院にはたくさんの可愛い仔猫ちゃん達が来院しています。ほとんどの方が室内飼育をされていますので、毎日飼い主さまに(が)べったりといったご様子で大変微笑ましいです。
我が家にも妻が大学生だった時に学校のグラウンドで出会ったピノコともう16年も一緒に暮らしています。ピノコは黒白のハチワレで病院のHPにもたびたび出演してもらっていますが、私としてはセカンドオピニオンの項目のトップに出てくるピノコが本来の彼女の魅力が出ているのでお勧めです(年齢はいってますが、かなりの美猫と思います)。

「吾輩はピノコである」

話を戻しまして、猫の血液、免疫の病気でまず一番に挙がってくる病気としては、やはり猫白血病ウイルス感染症と猫免疫不全ウイルス感染症(いわゆる猫エイズ)ではないでしょうか。現在では猫白血病ウイルスはワクチンがありますし、外飼いや脱走時のケンカでケガをしたりしなければ猫エイズへの感染機会は著しく低いと思います。ワクチンや飼育環境を整えることで予防できる病気ですので、是非対策を取っていただければと思います。

 

血液・免疫の病気にはリンパ腫などの円形細胞腫瘍が含まれます

飼い主さまと動物の病気のお話をさせていただく際に、リンパ腫の話になることがあります。リンパ腫は体の中にあるリンパ球という免疫を担当する細胞が体の中で異常増殖する腫瘍ですが、多くの皆様がそれなりの知識をもっていらっしゃり、様々な媒体で情報を得ていることがよく分かります。それだけ動物と暮らされている方々にはメジャーな病気になっているのを感じます。

飼い主さまのお考えや病院やドクターの方針にもよりますが、様々な診断法や治療法がありますので、ここではもう少し幅広く、リンパ腫を含めた円形細胞系腫瘍をご紹介します。

円形細胞系腫瘍とは炎症細胞、免疫を司る細胞達が腫瘍化している状態を指し、いずれも顕微鏡で観察すると丸いので、そのような病気にくくられていると私は思っています。動物の病気で特に有名なものとしてはリンパ腫、白血病、組織球系腫瘍(犬皮膚組織球腫、組織球性肉腫)、形質細胞腫、肥満細胞腫などが含まれます。同じように丸い形をしていますが、治療法は動物の状態、発生部位にも大きく左右され、予後も全く異なります。大変理解が難しく、治療も厳しいものもあるので、セカンドオピニオンのご相談も多いです。

個人的には信頼できる動物病院とそこで多くを学び心豊かなドクターやスタッフに出会うことが結局のところ一番幸せだと思っています。ここではそんな円形細胞腫瘍たちのお顔をご紹介しようと思います。

 

稀な病気としてアミロイド症というものもあります

アミロイドという異常蛋白が細胞外に沈着し、細胞や組織を障害する病気があります。アミロイドは様々な組織に沈着しますが、たくさん沈着すると機能障害につながります。猫の糖尿病を引き起こす原因である膵島へのアミロイド沈着は有名です。

上段の形質細胞腫の写真にもあるように、口、腸、皮膚などに形成された孤発性形質細胞腫の随伴所見としてALアミロイド沈着が認められることもあります。腎臓には糸球体という構造がありますが、そこにアミロイドが沈着し、重篤な腎臓病を引き起こすことがあります。

 

無限に広がる免疫の世界

2003年に大学の研究室に入った時に、書棚の中に犬と猫の臨床免疫学という本に出会いました。ヨーロッパの人が書いた本で、1999年に書かれた本です。

とても難しい免疫の世界を簡潔に学生にも理解できるように実際の臨床と結び付けた書籍で私は今でも愛読しています。

病理診断の花形は腫瘍、がんの診断で夢中で診断力をあげたくて、たくさんの標本を見てきましたが、ふと自分を振り返ると病理診断に初めて出会って感動したのがシカの結核の組織病変形成のストーリーで、その後、6年に渡り取り組んだ研究課題としては狂犬病ウイルス感染後の脳脊髄内の炎症、免疫の働きを病理学的に解析することでした。

臨床医となった後もアレルギー性皮膚炎や炎症性腸疾患に出会うことで、その興味の幅は広がりつつも、どうやら一貫して炎症や免疫細胞がどのように病気と関連しているのかを知りたいと思っているようです。癌の免疫療法ではノーベル賞を日本人が受賞するようなことが起こり、免疫の世界はまだまだ広がると思いますので、少しずつでも勉強を続けたいと思います。

 

年の瀬のおっさんずラブ

今年も師走がやってまいりました。令和元年でいろんなことがあった一年でした。困ったなと思っていることの一つにお腹の脂肪が増えてきて、もう自分もおじさんなんだなと思っています。最近、テレビでおっさんずラブというのを見かけました。内容を私は分からないのですが、題名から推測するにきっと、いいおっさんの話なんだろうと思います。

私は今年の診療を通じて、いい中年の大人の男性にたくさん出会えたなぁというのが感想です。動物病院に動物を連れて来られる方は女性のほうが圧倒的に多いと思います。実際は奥様や子供さんが動物を好きで飼っていて、それを同じ家庭で過ごしているだけであまり関与していないお父さんも多いかと思います。私は獣医師という仕事をしていますが、家ではピノコと遊んだりしていますが、大事なお世話は家族にまかせっきりです(自慢できる要素は何もないのですが)。
時代の変化なのでしょうか?今もお仕事で変わらず、お父さんはお忙しいと思います。ご家庭での動物との関りも私と同じように、お父さん以外の方が主役であるご家庭が多いですが、それでも何とか空いた時間には家族で一緒に来院されて、家族である動物の病状をキチンと聞こうとされたり、奥様や子供さんの意見にしっかり耳を傾けたり、治療に少しでも協力したり、誠実に当院のスタッフにも接して頂く姿勢を持たれているお父さんに多く出会えた気がします。そのような男性に対して心から尊敬をしますし、私と男二人だけで本音で語り合うような診療の場面もあり、本当におっさんずラブな一年でございました。その中で残念ながら亡くなった動物もおりますが、死は悲しいことや暗いことではない、そうはさせたくないという私の考えと飼い主様が繋がれたように感じた一年でした。

今年も本当にありがとうございました。

今年の漢字は「肉」!?
色んな意味で肉付きの多い年でしたね(byスタッフ)