小島動物病院アニマルウェルネスセンターを支えて下さっている皆様へ

2020年8月吉日

まずは、この度の新型コロナウイルス感染症について病気的観点及び社会経済的な観点から被害にあわれ、大変なご苦労をされている皆様にお見舞いとお悔やみを申し上げます。
世間がコロナ禍にさらされてから緊急事態宣言を経て早、半年が過ぎました。当院では感染者を出さず、春の予防シーズンを乗り越えることが出来ました。私はお盆の休診を頂き、少し時間の余裕が出来ましたので当院を支えて下さっている皆様へ感謝のお手紙を書かせて頂きたいと思い、パソコンに向かっております。

当院の院内感染症対策について
今となっては、随分昔の事のように思います。武漢やクルーズ船の報道に始まり、少しずつ不安感の増した新型コロナウイルス感染症問題でございますが、緊急事態宣言発出に前後し、感染の有無に関わらず私たちの日々の生活が大変不安定なものとなりました。その際には、皆様に院内掲示やホームページを通じてお知らせいたしましたように、関係各省庁及び獣医師会から出た対策を講じました。対策案は出たものの、大変な不安を感じながらの診療でしたが、動物医療を実践することが人間社会を維持するために重要であると考え、動物達のため、ご家族様のために、今の自分に出来ることをやり抜くという覚悟を持たせてくれました。
当院では行政などからの指示に加え、24時間の換気、複合次亜塩素酸系消毒剤による洗浄・清掃を実施し、院内環境の改善に努めました。また、日頃からご家族様への寄り添いを大事にしたいという想いから、人同士の接触についてはマスクの着用に加え、皆さまの不安感を少しでも減らし、ご家族様の診療に対するお気持ちをしっかりと受け止めさせて頂く目的でゴーグルの着用を任意で実施しました。様々な理由で診療をお待ちいただく待合室では、3密を完全に避け続けるのは難しいと思われましたが、状況判断力の優れたスタッフとご家族様のご協力により一件のトラブルの発生もございませんでした。待合室で、言葉だけのルールに縛られない皆様のご判断を見るたびに、ただひたすらに感謝の想いが芽生えました。また、マスクを始め生活必需品の入手が最も困難になったタイミングでは、温かいご支援・ご寄付を頂きましたご家族様、関係企業様に改めて感謝申し上げます。そのような感謝の想いを皆様の安心と安全に反映させるため、直近ではエアコンの洗浄を7月に2週に渡り実施いたしました。さらに秋・冬の感染拡大に備え、大型の次亜塩素酸空間除菌脱臭機を3台配置し、ご家族様とスタッフの更なる安全確保に努めます。

当院のコロナ禍における診療体制・方針について
当院では動物達の健康を守るため、まずはスタッフ全員が体調管理に努め、医薬品関連を中心とする関係先企業の皆様と一丸となり、日々の診療を継続させていただきました。ご家族様には医薬品の供給遮断にもご理解とご協力をいただき、企業の皆様にはギリギリまで医薬品の確保に奔走して頂きました。このようなことが出来ましたのはスタッフ、ご家族様、関係先企業様、地域の皆様のご理解、ご支援が一つになったものであり、当院の掲げる3つの理念のうち、根幹を成しますBond based management(絆に基づいた運営)が実践されたものと思います。心より感謝申し上げます。
また、当院では予防獣医療や健康診断に基づいた早期発見、早期治療を重視するAnimal Wellnessを長年、一貫して実践することにより、動物達の健康体質の維持、向上を進めており、軽症から中等度の病気による入院件数を大幅に減少させることに成功しております。この成功により常日頃から診療の中心を、動物とご家族様が幸せに生活することを第一に考えて、動物医療の専門家として科学的根拠を持って情報提供を行うこと、動物たちの医薬品やフードの供給断絶に備え、過去の健康診断などで得た各動物のデータベースを基に、治療方針を組み立てることで、今回のような不測の事態においても、微調整で乗り越えられるチームワークが結果的に各ご家庭の幸せに通じるのだと改めて感じました。
いっぽうで、緊急性の高いあるいは高難度な治療を必要とする重篤な疾患につきましては、集中的に人、知識、技術、時間を投入し、このように不安定な社会環境においても多方面及び多様な疾患にとまどう動物とご家族様に寄り添い、病気の何故(ヤマイのコトワリ)を通じて、自分達に出来得る限りのベストな解決策をご提示し、一貫して動物の健康を通じてご家族様の幸せを追求しています(Pathology Centered Animal Practice:PCAP)。これは、当院の理念をご理解、ご協力頂いている全ての皆様のおかげで成り立っていることであり、改めて感謝申し上げるとともに、日々の変わらぬご支援をお願いする次第です。

今回の事案を受けて
私自身の話になります。お陰様で出張・会議などは全くなくなり、一日中、動物、飼い主様、スタッフ、関係先そして自分の家族の心身や事情を気遣う生活をしております。不思議なもので、生き物、立場あるいは考え方を超えて目の前の動物と人を大事にすることが大変な幸せであるということを改めて感じています。
以上に渡りまして、私はいかに病院が上手く回っていたかのように書いていますが、実際は、密になることもあれば、不安感によりイライラしたり、判断がぶれたり、守り切れぬ命もございました。それでも前を向いて、今の自分達に出来ることを技術、知恵、体力、心を絞り出して進むことで、温かい獣医療サービスを継続してまいります。目の前の動物の健康維持と課題解決を通じ、各ご家庭が幸せであることが、となり近所、地域、日本、世界が幸せになることと繋がっていると信じて疑いません。今後ともどうぞよろしくお願いします。

院長 小嶋大亮