小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。
街の中には様々なクリニック、診療科があります。身近なものとしては皮膚科、内科、眼科、歯科etcなどが挙げられるのでないでしょうか。
病理検査をするかどうかはさておき、どの診療科でも病気の名前すなわち診断を決めるために病理学的な言葉(病理診断名)が使われています。様々な診療科の中でも病理検査が、診断と治療の方針に決定的な重要性を持つ診療科目は腫瘍科、すなわち‘がん’の診療になります。
がん治療については当院の腫瘍科認定医に譲ることにしまして・・・
良性と悪性と言われるかでご家族のお気持ちを考えれば、天と地ほど差があると思いますし、そもそもがんの病理診断名が決まらなければ何の治療をすべきかすら決まりません。そのがんの病理診断で良悪の診断で重要な判断材料になるのが、「細胞の悪性度」です。
悪性度をどうやって決めるか?
悪性度をどうやって決めるかですが、その一つが細胞の形です。
細胞の形を顔に例えると、良性の細胞達は核も細胞質も比較的均一で、いかにも優等生ようないい顔をしているような感じがしますが、悪性の細胞達は核や細胞質の大きさがバラバラだったり、異常に大きいものや核分裂しているものがたくさん出てきて、優等生の集まりというよりは他人と違うことばかりするような顔をした個性派集団のような感じです。
長い人生、人として優等生がいいか、個性派がいいかは議論の余地がありますが、細胞は優等生のほうがいいと思います。
組織球に由来する腫瘍で良性の代表選手である皮膚組織球腫と悪性の代表選手である組織球肉腫のHE染色像のご紹介です。