小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。

6月になり、そろそろ湿気が強い時期になってまいりました。先月の中旬から、外耳炎が多くなってきましたので注意喚起も含めましてPCAP的耳鼻科について記載いたします。

耳鼻科は狭くて暗い穴の中の話です

耳と鼻はいずれも細い管になっており、大変狭くて、暗い穴になっています。その中に病気が起きてくると症状が出てきます。

まず、耳の中ですが、暖かくなってくるとジメジメしてきますので、たれ耳のワンちゃんなどはこの時期になると耳の炎症を起こすことが多いです。夏の間ずっと耳を振っていたり、匂いがしたりして、うんざりしている飼い主様も多いのではないでしょうか?
耳の中の病気は一旦治ったように見えても再発が多いです。治ったように見えてもというのは明らかにノミやダニなどが原因の場合には治りますが、アレルギーや腫瘍などが原因の場合には手術をしたり、内科治療が続いたりすることがあります。

硬性鏡検査による耳道洗浄

【before】毛も汚れも鼓膜にへばりついてる(;´Д`)きたなーい!!

【after】毛も汚れもとれてすっきり!ずっと匂っていた耳が臭くなくなりました!

次に鼻の中ですが、耳に比べて更に細く、更に暗い穴の奥の話になります。ずっとくしゃみをしていたり、鼻血や鼻水が出たりすることはありませんでしょうか?
春になってお散歩が長くなり、たくさんの匂いに誘われて、異物が入ってしまったり、アレルギーの症状が出たりすることがあります。年齢がいった動物の場合は腫瘍のこともあります。

硬性鏡でみる鼻腔

【正常な鼻腔】

【慢性鼻炎】

【細菌感染による化膿した鼻炎】

上記したように様々な原因がありますが、診察の中では獣医師だけがその穴を覗いて検査することが多いため、飼い主様はもちろん、一緒に診察に出ている動物看護師も、何が起こっているのかはよく分からないというのが正直なところだと思います。

また鼻や耳の病気が進行すると目、口、脳などの頭全体の問題に発展することがあり、治せる病気は早めに治す、治らない病気の場合、悪化させないために原因を明らかにすることが重要です。

 

PCAPでは硬性内視鏡システムと病理検査による診療を行っております

【硬性鏡検査の機械】

【鼻の硬性鏡検査の様子】

比較的原因が明らかで適切な対処をすれば治る病気に関しては、予防を行ったり、対症療法で対応したり、シャンプーやケアを当院で行ったりします。ケアなどは時に飼い主様にも覚えて頂いております。当院のグルーマーによるシャンプーや動物看護師による飼い主様へのケア指導は当院の魅力ですので、どうぞお気軽にご相談頂ければと思います。

いっぽう難治性の病気についてですが、上記しましたように、耳と鼻の中は獣医師以外の人が見えないところであることが獣医師と飼い主様、そして時に一緒に診察をしている動物看護師とのコミュニケーションを難しくさせます。何が起こっているのか、どの程度悪いのかが見えないので理解しづらいのです。

そこで当院では!耳と鼻の中の‘見える化’をするために硬性内視鏡システムにより画像に残す検査を実施することで獣医師以外の人達に病気を理解してもらいやすいようにしています。

またその病気の質を評価するのは、得意な病理検査が主役になりますので、細胞診や組織検査を行い、病名の確定を行っております。耳鼻科は継続治療が多い科目です。

しっかりと診断をつけることをお勧めしています。

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