小島動物病院AWCエキゾチックアニマル診療科の小嶋恭子です。

日々の診療の中で皆様にお伝えしたいことを発信していきたいと思います。

当院にハムスターさんが来院される理由の第1位は、脱毛、ふけ、赤み、できもの(腫瘤)といった「皮膚の異常」です。前回は、ハムスターの体の特徴、症状と診断、治療の概要についてお伝えしました。今回は実際によく遭遇する主な病気についてです。

ニキビダニ症

様々な種で見られますが雄に多いです。脱毛や皮膚の赤み、ふけなどが主な症状です。被毛の検査やテープ検査でダニを検出し診断します。普段からグルーミングを盛んにする動物なので、かゆみの症状は分かりにくいですが、被毛を顕微鏡で観察すると途中で毛が切れている(裂毛)ことがあり、引っ掻いたり噛んだりして毛がちぎれたことが分かります。駆虫剤の外用や内服で治療します。

ニキビダニ症は他の動物と同様に、免疫力が低下した際や他の皮膚疾患で皮膚の状態が悪化した際に二次的に発生すると考えられているため、腫瘍性疾患、肝不全や腎不全などの慢性疾患、感染症などの基礎疾患がないか、詳しく調べる必要があります。

 

ニキビダニの顕微鏡像

脱毛

ふけ

腫瘤

できもの(腫瘤病変)が発生した場合は細胞診を行い、膿瘍(膿の袋)なのか炎症なのか腫瘍なのか、腫瘍であれば良性か悪性かを分類します。例え腫瘍でなくても、腫瘍の中で良性が疑われても、かゆみが強い、出血が多い、機能的に問題を及ぼす場合は外科的な摘出が必要です。全身麻酔は高齢になるほどリスクが高くなります。また、多くの腫瘤は急速に大きくなる傾向があります。腫瘤は大きくなるほど手術に要する時間が長くなり、体への負担も大きくなるため、様子を見ないで早めに手術を検討します。

ハムスターにみられる主な皮膚腫瘍

ジャンガリアンハムスター

良性:乳腺腫瘍、非定型線維腫、乳頭腫、毛包系腫瘍など

悪性:扁平上皮癌、乳腺癌、軟部組織肉腫、骨肉腫、肥満細胞腫など

ゴールデンハムスター

独立円形系腫瘍(リンパ腫、形質細胞腫など)

耳に発生した扁平上皮乳頭腫

臭腺腫

扁平上皮癌

リンパ腫疑い

皮膚血管肉腫①

皮膚血管肉腫②

皮膚血管肉腫③

ハムスターの皮膚疾患①はこちら

 

小島動物病院アニマルウェルネスセンター/動物の皮膚がんサポートセンターを知るには

【動物のなんかいいもの勉強会】にチューニング♡

小島動物病院AWC Instagra更新中(⋈◍>◡<◍)。

LINEスタンプ発売中(*´ω`*)

動物の皮膚がんサポートセンター HP

動物の皮膚がんサポートセンター Instagram