小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。
今回はエキゾチックアニマルの病理検査について記載させて頂こうと思います。

エキゾチックアニマル科の病理診断とは

犬と猫以外の家庭動物をエキゾチックアニマルと呼んでいます。当院では主にウサギ、鳥、ハムスター、フェレット、モルモットを診療対象動物とさせて頂いております。過去のPCAPにも記載させて頂いておりますように、病理診断は体の組織を使って、確定診断を行う検査になります。動物種により組織の違いはありますが、生物である以上、病理検査を行うことができます。ですので、現状、当院の診療対象動物ではありませんが、両生類や魚も病理診断が行うことが可能です。

エキゾチックアニマル科について

どんな動物のどんな病気が多いのか?

エキゾチックアニマルに含まれる動物達の中には犬や猫以上にコミュニケーションが難しく、また病気や治療についても犬や猫より分かっていることが少ないので実際に発生している病気と診療機会の多い病気は必ずしも一致していないかもしれません。

その中でも、ウサギの場合ですと子宮癌はよく遭遇する病気ですので、当院では積極的に不妊手術やウサギドックをおすすめしております。

ハムスターやモルモットですと、皮膚癌での来院が多いです。他の動物に比べても更に小さい動物ですので、小さい手術するのも一大事です。早めに対応できるように病変が小さなうちに判断することが重要に思います。

いわゆるガンではありませんが、鳥の場合ですと黄色腫と呼ばれる高脂血症と関連のある皮膚の異常があり、生活習慣や食生活の改善により発生する確率を落とせるような病気もあります。

このようにエキゾチックアニマルでも早期発見・早期治療や予防策を取ることによって病気から極力離れた生涯を送ることが可能です。病院での検診やご自身の気付きを大事にして早めに動く、早めに判断することが、他の動物以上に大事だと思います。

 

エキゾチックアニマルの細胞採取法について

病理診断には細胞を採取する必要があります。とても小さく繊細な動物達ですので、早めに予防や治療を行うことの重要性を記載させて頂きました。繰り返しになりますが、エキゾチックアニマルは小さく繊細ですので、負担を極力少なくすることも極めて重要です。すなわち麻酔下の手術で悪い組織をたくさん取ることも重要ですが、短い生涯をご家族が病気をよく理解した上で生活することが重要ですので、診断精度は少し落ちたとしても細胞診を有効に活用することや内視鏡や硬性鏡などを使って低侵襲で細胞採取を行う病理診断が今後更に重要性を増してくるように感じております。

 

追記:動物看護師の学校で動物の病理学や当院のPCAPについて講演させて頂きました。フレッシュな学生さん達に病理の事を聞いてもらえる機会を頂いて大変嬉しかったです。このPCAPブログもまだまだ産まれたばかりです。一緒に成長できるように頑張りたいと思います。