小島動物病院AWC エキゾチックアニマル診療科 獣医師の小嶋恭子です。

段々と暖かくなってくる季節は鳥にとって過ごしやすく、新しくヒナを迎えるのに適した時期でもあります。ただ、おうちに迎えたばかりの鳥は、環境変化によって体調を崩しやすいので要注意!!

今回は、抵抗力の弱いヒナによく見られる感染症についてお話します。

どんな病気があるの?

鳥の感染症は非常に多く知られていますが、その中でも免疫力の低いヒナで特に心配な病気や、診察でよく遭遇する代表的なものをあげます。

 

マクロラブダス(AGY)症;主にセキセイインコ

真菌の感染症です。嘔吐、未消化便、黒色便(胃潰瘍からの出血による)、削痩などがみられます。

糞便検査で診断が可能で、抗真菌剤によって治療します。

 

ロックジョウ症候群;オカメインコ

Bordetella aviumなどの病原体が副鼻腔から、咬筋、顎関節、神経に広がり顎が動かなくなる病気です。上部呼吸器症状に始まり、顎や嘴が青くなって口が開きづらくなります。最終的には開口できなくなり、餓死や誤嚥で死亡します。特徴的な症状と、遺伝子検査、培養検査で診断し、抗生剤、消炎剤、ネブライザーなどで治療します。

 

オウム類のくちばし・羽毛病(PBFD);オウム目のみ(セキセイインコ、ラブバードなど)

PBFDウイルスによる感染症です。症状は鳥種や年齢によって異なりますが、羽毛の異常(変形、血斑など)や脱羽が特徴的で、血液あるいは異常羽毛の遺伝子検査で診断できます。

インターフェロン療法が有効です。

 

セキセイインコのヒナ病(BFD);主にオウム目(セキセイインコ、ラブバード、オカメインコなど)

ポリオーマウイルスによる感染症です。より幼い時期に感染した鳥はより発症しやすく、進行も激しくなります。急性型では羽毛異常、皮下出血、肝肥大、消化器症状、神経症状を、慢性型では羽毛異常のみが見られます。血液および口腔と排泄腔スワブの遺伝子検査で診断され、止血剤、強肝剤で治療します。

 

鳥から人に感染する代表的な「人獣共通感染症」―オウム病

原因菌はクラミジアです。飼い鳥では特にオカメインコ、セキセイインコで感染率が高いといわれています。食欲不振、膨羽、下痢などの一般症状、やや特徴的な症状として鼻炎、結膜炎などの呼吸器症状や肝炎症状がみられます。

血液、便、排泄腔や咽頭スワブの遺伝子検査で診断しますが、様々な要素によって検出率が左右されるため結果の解釈には注意が必要です。抗生剤の長期投与で治療します。

人のオウム病は、国内の年間報告数がかなり少なく、うつりやすい病気ではないと考えられています。密閉された環境で、乾燥して粉塵化したクラミジアを含む糞便を人が吸い込んで感染することが多いです。口移しなどの濃厚な接触、咬傷、爪傷などからの感染もあり得ます。健常者が一般的な飼育環境で感染することはまれと考えられますが、免疫低下者や妊婦は注意が必要です。人ではインフルエンザ様症状が突然発症するといわれますので、そのような場合は必ず病院へ行き、医師に鳥を飼育していることも伝えましょう。

 

飼い主ができることは?

お迎え直後の鳥は強いストレス下にあります。新しい場所では楽しそうに見えても、かなり緊張していて免疫力が下がっています。免疫力の低下は感染症の発症につながります。

おうちに迎えたら、まずは環境に慣れさせるのが先決です。極力、遊んだり、声をかけたり、触ったりしないようにしましょう。すぐに広いケージに移さず、まずは狭い看護室に入れ、周りを覆い少しずつ外界が見えるようにし慣らしていきましょう。

病鳥と同じように、保温、体重測定、安静が重要です!

 

*遺伝子検査とは、「病原体」となる細菌やウイルスなどのDNAを見つけ出す検査のひとつです。血液以外にも、糞便や分泌物のぬぐい液(スワブ)などでも検査ができます。疾病診断はもちろんのこと、健康診断としても利用できます。