小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2021年のテーマは‘超三流になる’です。もう一度、足元を見つめて、身近な病気を再度確認すること、所見をしっかり取ることをして、病理と臨床の事やそれに近しいことをまとめています。プラスαでは病理と日々の生活を結び付けて、少しだけアートなことをしたいです。今月はアレルギー性鼻炎とNS capの紹介です。
アレルギー性鼻炎(免疫、呼吸器、病理の視点から)
概要: くしゃみが止まらないと飼い主様から相談を受けることがあります。私達にも花粉症があり、季節性のアレルギーがあることは皆さんご存知ですので、理解が早く比較的スムーズに話が進みます。しかし犬のアレルギー性鼻炎を確定する基準は確立されていないと思っていますので、意外に診療は困ります。症状はくしゃみ、漿液性の鼻汁、鼻出血などです。鼻出血がある場合は、腫瘍性疾患が潜んでいることもあり、凝固能やレントゲン検査が重要と思います。また歯科疾患との区別も重要ですので、よくお口の中を観察しています。このような一般の検査は他の病気を除外することが大事で、ただの鼻づまり、特に異物の可能性やリンパ球形質細胞性鼻炎を除外します。本丸であるアレルギー性鼻炎を確定するには一般検査に加え、硬性鏡で鼻粘膜の生検と病理検査を行い、好酸球浸潤をお示しすることが分かりやすいです。
その他にもアレルギーや免疫の関与する病気は多く、今回はスライドで猫の好酸球性皮膚炎と炎症性腸疾患を入れておきます。治療はアレルゲンの同定、換気・清掃を基本し、抗ヒスタミン剤やステロイドの投与を行います。人のように外用薬や局所療法で管理できると、随分、楽になるように思います。
所見(犬の好酸球性鼻炎): 鼻粘膜は水腫性で固有層には多数の好酸球が浸潤し、軽度に好中球、マクロファージ、肥満細胞が混じる。所々で出血が観察される。鼻粘膜上皮細胞は分泌活性が増し、かつ重層状に過形成を示している。鼻腺はやや拡張している。
どうぶつPathoアート:どうぶつPathoアートは完全に息切れをきたしましたので、次の展開に移行します。コロナ禍で外に出ることが激減しておりますが、オンライン上での勉強会は昼夜や場所を問わず盛んに行われています。私もやってみようと思い、‘動物の臨床と病理と何かいいもの勉強会:Animal Clinical Pathological Something Niceの頭文字を適当に組み替えてNS capというものを始めました。キャラクターはラブラドール犬とピノコさんでキャップを被ってもらいました。動物の臨床のこと、病理のこと、動物医療のこと、人間の成長のことなどを題材に勉強したいと思います。人を集めてやることが目的ではなく、様々な勉強をするところにNS capの2匹がお勉強をしにいきます。
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