小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の臨床と病理学に関わることを記載しています。夏真っ盛りです。青い海と青い空が最高の季節ですね。酷暑が問題になっていますが、個人的には冬の除雪地獄に比べれば、全然、許容できます。今回は青にまつわる犬と猫の皮膚の感染症について記載します。

 

暖かくなると増える皮膚の感染症

夏は好きな季節で、日の出とともに少しずつ空が青くなりながら、サーフィンをするのは最高の贅沢です(写真は私ではありません。こんな風に乗れたらいいなという妄想です)。今日は、毎年、春ごろから、皮膚が痒い、ボツボツが出来たということで受診される動物達が増えます。その中で、皮膚に感染症が起こっていることがよくあります。その原因、検査、治療についてご紹介したいと思います。

 

感染症の臨床・病理検査と治療法について

‘青い’と認識されることで、感染症が証明される検査には以下のようなものがあります。

ウッド灯検査:紫外線を発するウッド灯というランプを用いて、皮膚糸状菌という真菌を検出する検査です。カビに感染した毛には青色に光ります。もっと詳しく菌の種類などを同定する場合、真菌培養検査を行います。真菌を倒す薬には抗真菌薬を使用します。

 

PAS反応:マラセチアとは、人や犬などを含む動物の皮膚や粘膜にいる酵母です。顕微鏡でみると、ダルマあるいはピーナッツの形をしており、組織検査でPAS反応を行うと青色で見えます。マラセチアは常在菌でもあるので、あまり内服薬は使用せず、シャンプーで治療をおすすめすることが多いです。

 

グラム染色:この染色法は、ずばり細菌感染を証明するもので、青色に染まる場合は、グラム陽性菌が証明されます、細菌性皮膚炎は、いわゆる膿皮症といわれStaphylococcus pseudintermediusが関与しています。細菌感染症には、抗生剤を使用して治療します。

 

感染症の背景にあるホント?の話

今回は青にまつわる感染症にスポットを当ててご紹介しました。ただ実際の診療では、感染症の治療をするだけで治ってくれることは正直あまりありません。というのは多くは背景に素因となる体質や基礎疾患が存在していることが多く、再発しやすいからです。よって治療は、その素因によって、必要な治療を変えることになります。素因には食物アレルギー、犬アトピー性皮膚炎、ホルモンに関連する疾患、自己免疫に関する疾患など多岐にわたります。皮膚病の治療は長期にわたること多いので、飼い主さんとよくご相談しながら、治療を進めていきます。

 

コミュニケーションが大事ですね。PCAPですね。