小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。
今回は歯科、口腔の中の病気について記載します。
お口の健康は大事。デンタルケアをしよう!!
最近はお口のトラブルが全身の病気に関連しているという内容をテレビなどでも見かけることがあります。私自身、あまり歯磨きが上手でなく、歯医者さんに行くたびに指導をしていただいているのですが、なかなか長続きしません(フロスをさぼってしまいます)。
動物も人と同じように歯がありますので、同じようにお口のトラブルに見舞われることがあります。お口の中のケアについての基本スタンスは”汚さない!””汚れたら綺麗にする!!”ですので、歯磨きをおすすめしています。私のように歯磨きが苦手なワンちゃん、猫ちゃんもおりますので(実際は出来る子が少ないと思います)、当院ではデンタルケアに関するご相談やケア製品をご紹介しております。どうぞご相談ください。
歯石除去も検討しよう。お口の汚れが命に影響することも。
どうして歯磨きなどのデンタルケアによる予防歯科をおすすめするかというと、動物の歯科処置には全身麻酔が必要だからです。
私の子供の頃の記憶ですが、歯医者さんに行った時に、私は歯科処置の音が恐くて、泣いていました。通い続けられたのは歯医者さんや歯科衛生士さんが優しくて、最後にお土産をくれたからです。
動物に置き換えるとどうでしょう。
動物へのお土産作戦の効果は極めて限定的であり、安全に処置するため大人しくしてもらうのに麻酔が必要になるのです。どうして麻酔をしてまで歯科処置をするかというと、ケアのしていない動物は肺炎になったり、最悪、口の中のバイ菌が心臓に到達し、亡くなってしまうからです。デンタルケアで対応できなくなった時に麻酔下の歯石除去を検討しなければいけなくなります。麻酔に不安もある飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、問題なく麻酔に耐えられる健康づくりが大事だと思います。当院のAnimal Wellnessの概念がお役に立てると思います。
口腔内の炎症性疾患と腫瘍性疾患について
病理検査が主役になる口腔内の病気ですと、治らない慢性の歯肉炎やデキモノの原因解明になります。慢性の歯肉炎の背景、原因、今後どうなるのか、治療選択肢はどうなのかは病理診断が教えてくれます。同じくデキモノの悪性度、今後どうなるのか、治療方法についても病理診断が一番の先生になります。何か分からないもの(診断がついていないもの)に対し、様々な治療方法を模索しても、徒労に終わるかと思います。動物の歯科には麻酔というハードルはありますが、前に進むときは思い切って進んでみるのも大事だと思います。
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