小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の臨床と病理学に関わることを記載しています。飼い主様から、やはりブログを書くべしとご指導を受け、久しぶりに執筆活動に戻りました。久しぶりで何にしようかなと思っていたら、私も健康診断で異常値が多くでるようになったので、今月は‘健康診断で高脂血症と言われた件について’です。始まり始まり~。
高脂血症とは:血液中のトリグリセリド(中性脂質)あるいはコレステロールもしくはその両方が増加する病態をさします。私も40歳を超えて、なお引き続き、生活習慣を全く見直すことをしないで進んでいますが、もれなく、異常値になり、高脂血症と高血圧のダブルパンチで生活習慣病チームに仲間入りさせていただきました。まだあんまり危機感はありませんが、知識だけは付けておきたいです。
いろんなパターン
原発性と続発性:原発性の場合には、ミニチュアシュナウザーの高トリグリセリド血症やシェルティーの高コレステロール血症が代表的です。犬種特異性が明らかなので、飼い主様にあらかじめ情報提供をさせていただいております。続発性の場合には、肥満や内分泌疾患が考慮されます。肥満は、日々の食餌管理が重要ですね。
気づくために重要なこと:残念ながら特異的な症状はありません。健康診断で指摘されることが多いです。問題は、放置して基礎疾患などが重症化した時に大きな症状として出てくるので、そうならないように備えるのが重要です。
続発性に潜む基礎疾患の種類:甲状腺機能低下症、糖尿病、クッシング症候群、ネフローゼ症候群、閉塞性肝疾患などが含まれます。いずれも出来れば、健康診断などを活用して、早期発見早期治療が出来ると安心です。
症状が出てしまった場合のパターン:高トリグリセリド血症では痙攣やニューロパチー、膵炎による嘔吐や下痢などがあります。高コレステロール血症では粥状硬化症などの血管の病気が起こりますので、急変が心配です。重ねてになりますが、早めの対応が重要ですね。
治療について:当院では飼い主様に、健康診断を受診していただいており、異常があった場合にはサプリメントや食事療法をお勧めしています。よって、積極的に治療を行ったことがありません。お薬としては高トリグリセリド血症の場合は、フィブラート系薬剤、高コレステロール血症の場合はスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)が使用されます。動物より先に飲むのは私かもしれません。
まとめ:今回のPCAPは私の体験談をもとに、健康診断で高脂血症と言われた件についてにしました。重症化しないことが大事で、①生活習慣(食餌環境)を正しく、②健康診断を利用する、③基礎疾患には早めに対応するというのがポイントです。