小島動物病院AWCエキゾチックアニマル診療科の小嶋恭子です。
日々の診療の中で皆様にお伝えしたいことを発信していきたいと思います。

去る9月1日、新潟市にて「令和6年度獣医学術中部地区学会」が開催されました。中部地方の動物病院の先生方が集まる学会なのですが、新潟での開催は9年ぶりで、当院からも院長、今井獣医師、私の3人で発表をさせていただきました。

私の発表は「卵巣子宮摘出後に脂質産生豊富な乳腺癌が発生したウサギの1例」です。

ウサギさんの乳腺癌とホルモンの関連について考察し、会場からも質問をいただいたり、注目して下さった県外の先生と交流が持てたりと、大変貴重な時間でした。

ウサギの不妊手術と乳腺腫瘍

ウサギだけではなく、多くの動物種で乳腺腫瘍の発生と雌性ホルモンは関連があるのではないか、と考えられています。
したがって、不妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生をある程度抑えられるのではないかという考え方があり、特に犬や猫では不妊手術が卵巣・子宮の病気と乳腺の病気に対する予防手術として定着してきました。

今回私が発表したウサギさんは、不妊手術をした後に乳腺癌が発生したので大変珍しいケースといえます。しかもその乳腺癌は乳汁を作っていました。ウサギの乳汁は脂肪をたくさん含むので、病理組織の脂肪を検出することでこれが証明されました。

(標本写真:HE弱拡大「乳腺癌」)

(標本写真:HE強拡大「空胞が目立つ」)

(標本写真:脂肪染色「空胞の中に脂肪が検出された」)

まだまだ癌が発生する本当の原因は分からないことだらけです。

ウサギさんにも不妊手術が浸透したことで、子宮疾患の発生は昔に比べて格段に減少しました。
繁殖能力の高い動物であるウサギは子宮疾患の罹患率が大変高く、この病気が減ったことで健康寿命も伸びています。

でも、手術をしたら終わり、ではないですね。今回のウサギさんが教えてくれました。例え不妊手術が終わったウサギさんでも、診察では乳腺の触診をしっかり行い、異常があった場合は早期治療に努めていきたいと思います。

 

犬の子宮蓄膿症について

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