小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。2020年のテーマはWith With Withで動物の一つの疾患に関して様々な側面から分かりやすく見みることにしています。今回は取り上げるのは犬と猫のクッシング症候群です。
犬と猫のクッシング症候群
腎臓の傍に副腎という組織があり、副腎は表面側の皮質と内側の髄質から出来ています。その副腎の皮質組織が大きくなったり、増えたりすることで、そこから出される副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、クッシング症候群という病気を引き起こします。症状はホルモンに関連する病気ですので、多飲多尿、食欲亢進、肥満、皮膚病、時々、高血圧や血栓症を引き起こします。副腎皮質が活発あるいは大きくなるので、その原因は機能性の副腎腫瘍であったり、副腎の機能を司る下垂体の病変であることがあります。診断のための検査は多岐に渡り、血液検査、レントゲン・超音波検査、内分泌検査、CTやMRIなどが行われます。一口に副腎皮質機能亢進症とはいっても上述したように原因により様々ですので、治療は内科的な治療や外科手術が選択されることもあります。
PCAP的犬と猫のクッシング症候群
当院でもクッシング症候群の診断と治療を行いますが、最も多い症状は皮膚病で、時にマラセチア皮膚炎などが2次的に発生していることもあります。よくマラセチア皮膚炎や皮膚糸状菌症と診断されたが良くならないというご相談を受けます。またクッシング症候群でよく注意したいなと思うのは糖尿病を引き起こしている場合があり、糖尿病の治療をしているが全く良くならないというご相談を受けることがありますので、原因を調べることは重要であると感じます。困り果ててしまうケースで血栓症を引き起こして突然具合が悪くなることもなり、十分にコントロールしていくことをご家族の皆様とよくご相談しています。
PCAP的副腎の他の病気
副腎皮質の機能が過剰に活発になるのが亢進症なので、当然、逆の病気もあり、アジソン病と言い副腎皮質の組織の萎縮とリンパ球、形質細胞浸潤を認めるような病気もあります。また副腎の髄質に病気が発生する代表選手には褐色細胞腫があり、発作性の高血圧が生じことがあります。いずれも稀な病気ではありますが、診療には大変難渋します。
第8回日本獣医病理学専門家協会(JCVP)学術集会の応援
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