小島動物病院AWC院長の小嶋です。PCAPとはPathology Centered Animal Practiceの略語で、‘病理学を中心にした動物の診療’です。ここでは動物の病理学に関わることを記載しています。
日本獣医皮膚科学会認定医による皮膚科専門診療を行っています。
2017年の8月に3年間の準備期間を経て、日本獣医皮膚科学会認定医試験に合格し、2018年より獣医皮膚科認定医として診療を行っております。私の基本専門分野は病理学ですが、病気の何故、すなわちヤマイのコトワリに基づく考え方を腫瘍科に加え、皮膚科にまで幅を広げるため資格取得を行いました。新潟県では3人目の資格取得者となります。
どうして皮膚を専門的に見る必要があるのか。
病理医として最も頻繁に遭遇する病気は腫瘍、ガンの診断です。では動物ではガンが最もありふれた病気あるかというとそうではありません。どうして病理診断でガンの依頼が多いかというと、病理診断がその病気にかかった動物の予後と治療方針を決定づける最も信頼のおける確定診断であるからです。誰が聞いても重大な疾患であるガン治療が推測による診断で行うわけにはいかないのです。
臨床医として日々の診療を行っている中でいかに毎日皮膚のトラブルで来院される動物が多いことに驚かされます。実際、皮膚病が多いのはもちろんですが、言葉を話せない動物に対して飼い主様から目に見て分かるからというのが理由の一つと思います。よって遭遇する機会も多いので経験的に治療できることも多いのですが、なかなか治らない皮膚病に対して診断難民になってしまっている動物とそのご家族が多いのも皮膚科です。病理学の持つ確定診断あるいは病理学的思考を駆使して一生の問題になる皮膚病の動物たちのお役に立てればと思います。
病理診断が出来れば、皮膚が分かるか。
確定診断を担う病理検査ですので、皮膚の病理検査から得られる情報は診断に圧倒的に優位なことに疑いの余地はありません。では皮膚病理検査が出来れば何でも分かるかというと、そうではありません。病理標本をみるだけで何のホルモンによる内分泌疾患であるか、何の食物が原因であるアレルギーであるかなどは分からないのです。また、ホルモン検査やアレルギー検査だけでも病気を語ることはできません。しかし、病理検査を行わなくとも基本的な皮膚検査で病気の原因が分かることもあります。大事なことは臨床皮膚科医として様々な検査を総合して矛盾のない診断を付けることだと思います。
診断が出来れば、病気は治るのか。
当院にセカンドオピニオンや皮膚科の専門的治療を希望されることが増えております。皮膚の治療は一生続くことがありますので、診療方針としては病気の基本的な土台である病理学の観点を軸にしつつ、ご家族の皆さまのお話を聞き、どのような事をすれば、どのようなことまで分かり、それに対してどのような方法で行うかを決定し、その効果を検証し、経過を追いながら都度、動物とそのご家族にとってベストな診療を一緒に考えていくことにしています。
以上、PCAP的皮膚科について少し書かせて頂きました。動物の皮膚病でお悩みでしたら、ご相談ください。